K 薬学部 薬学科 2024年度入学(前期日程)〈2023前期・後期、2024推薦Ⅱ共通テストあり、も受験〉
受験に対する考えと大学の講義や生活

①受験生の皆さんへ

 まずは現役生の方向けに書く。自分の進路について確固たる意志を持って考えた人もまだまだ迷っている最中の人も居るだろう。どちらの人も一つ確実に言えることとして、勉強をきちんとして選択肢を広げる事が1番大切である。一つの考えに固執することも時には必要ではあるが、人間いつ考えが変わるかは分からない。だからこそ自分の取れる選択肢を少しでも増やしておく事が大切である。模試で出る大学の判定に一喜一憂するな、と学校で言われると思うが、一浪して苦労した身からすると本当にその通りだと感じた。判定が良いから楽勝だと考えることも本番で大きなミスをしてしまえば全て無為になり、判定が悪いからといっても本番は上手くいき合格することもある。諦めずに勉強すれば全て上手くいく、なんて綺麗事を言うつもりはないが、自分の理想を叶えるためにはそれなりの努力は必須である。かく言う私も勉強が嫌いで現役の頃は大した努力もしなかった。そうして浪人することになったが、なぜ現役の時にきちんとやらなかったのか後悔し続けて、取り返しのつかない過去を思うとずっと苦しかった。だからこそ現役生の方にはそんな後悔はしてほしくない。大学に行ってももちろん勉強はするが、受験勉強の数年が1番しんどい時期だと思う。その数年を頑張り切れば、今後の人生も明るいものになる確率が大きく上昇するだろう。自分の人生の幸福のためにも、理想のためにもせめて現役生であるうちはなるべく早くから勉強に打ち込んでほしい。  次に現役生でない人に向けて書く。私は一浪して大学に入学した者である。幸いにも現役の頃の第一志望に合格する事が出来た。しかしこれも諦めずに挑み続けたから得られた結果である。私は予備校に通っていたが、周囲のレベルの高さに何度も心を折られ続けた。人によるところも多いと思うが、少なくとも私は浪人生同士で切磋琢磨することなどなくひたすら己との戦いだった。成績が伸びない事への焦りはとても大きく、現実と理想の大きな隔たりに心を病んでいたと思う。当然周囲の人間も一部はその重圧や苦しみに耐えられずに受験戦争から離脱する事があった。何度も何度も心を折られ、近づいてくるタイムリミットにとてつもない焦りを感じ、私自身も離脱しようと思った事がある。共通テスト本番も体の中身が全部出るのかと思うぐらい緊張した。ここで失敗すればこの一年が無駄になってまう、と持っているペンの震えも止まらなかった。実際勉強してきたことは無駄にはならないのだが、余裕のない人間にはそう思うことが難しかった。浪人時に学校推薦II型を受験した時も食べ物が喉を通らず、ずっと嗚咽していた。結局その推薦も不合格で数日は何も手がつかず、ご飯も食べられないまま涙だけ流していた。こんな風に最後の最後まで精神的に追い詰められていた訳だが、受験を投げ出さずに最後までやり抜いたことだけは他者に誇れることだと思っている。私も浪人時は荒れに荒れて冷静な判断など出来なかったので人に言えた立場ではないが、どうか理性的に目の前のことだけではなく将来の自分を見据えて諦めずに勉強してほしい。私は浪人して良かったとは思わなかったが、先述したような緊張は浪人しなければ味合わなかった事であり、現役で諦めていれば今後の人生にずっと後悔を残していたと思う。決して浪人を肯定するわけではないが、浪人してしまったのであれば、どうかもう何も考えずに進み続けてもらいたい。  長くなった上に何が言いたいのかも分からなくなってしまったが、これが大学受験を経験してきた者の正直な体験談の一例である。ぜひ参考にしてもらいたい。

②徳島大学の雰囲気や授業の様子を教えてください

 薬学部には非常に真面目な人が多い。そして教授の授業も一年生の講義で既に専門性が高く弛まぬ勉学への努力が必要である。基本的にパワーポイントを使ったスライドでの講義が多い。講義資料を配布してくれない先生もあるので講義に休まずに出てきちんと授業を聞くことが不可欠である。大学は高校に比べて楽である、や人生の夏休みだ、などと言われることが多々あるが、実際は全くもってそんなことはない。授業の数も高校の時より多い上に内容もより難しい。その上1人暮らしをしていると生活も自身でやっていかなければならない。よって大学は楽なものだという甘い考えは捨てるべきである。話が逸れてしまったが、大学生活は大変なものではあるとは言え楽しいものであることに変わりはない。サークル活動では自分と異なる学部の人との関わりもでき、活動によって大学構内も活気に満ちている。もちろん図書館や勉強スペースでは日々、勉強を重ねる学生が多く見られ、大学生の本分もきちんと果たしている。

③受験生へのアドバイス

 ①の項目で勉強に関して述べたので、ここでは受験生としての過ごし方について書く。受験生だとしても休息は必ず必要である。勉強をするために睡眠時間を削る人も往々にして見る。個人の性質によって最適解は異なると思うため一概には言えないが、その勉強法は少なくとも私にとっては適切でなかった。勉強漬けになるのは致し方ないことであるが、睡眠時間を削る前に無駄な時間を削る方が先決な人が大多数であると思う。適度な睡眠によって勉強効率も記憶の質も向上するため、定期的な休憩や十分な睡眠を意識してもらいたい。ゲームしたり、漫画を読んだり、テレビを観たりするのも私は構わないと思う。大事なのはその時間の使い方である。無駄に時間を使ってしまうとなんであの時勉強しなかったんだろうと後悔することにもなり、精神的な健康の面でもよくないだろう。結論として、無駄に時間を使わないことは前提とした上で必ず休息をきちんと取ってほしい。

④合格後から入学(~4月)までどのように過ごしましたか?

 先程まで偉そうに受験について語っていたが、合格後は厳しい勉強と精神的負担から解放された喜びでダラダラしたり遊び回っていた(笑)。苦しみを乗り越えた後であるため、合格後ぐらいは好きなように過ごしたら良いと思う。地元の友達と離れてしまう事が多いため、思い出作りに励むことも大切だと思う。

⑤入学準備はどのようにしましたか?

 高校の同級生がほぼ全員が既に大学生だったため、その人たちに聞きながら準備をした。浪人生特有の準備の仕方なのであまり当てにならないだろう。

⑥高校生の時大学でやりたかったことと、実際大学で学んでいること

 私は小学生の時には既に薬剤師になりたかったので、国立の薬学部に進学し、薬剤師国家試験に合格することを前提としたプラスαの勉強がしたいと高校生の時に考えていた。ここで言うプラスαの勉強とは研究や臨床実習の事である。私立薬学部のことを悪く言うつもりは毛頭ないが、私立薬学部ではどうしても国家試験の合格が最優先となり、研究や臨床経験が疎かになりがちである。そのため大学では研究に力を入れるつもりであった。中でも私は生薬学に興味があったため、その研究をやりたかった。実際に徳島大学では研究に力を注いでおり、一年前期で既に生薬学の研究室を体験した。そこでは自身の手で生薬の成分を抽出し、NMRでスペクトルを測って成分を同定する工程を行った。そのスペクトルを見て考察することは非常に楽しいものであった。  薬学といえば化学を思い浮かべる人が多いと思う。しかし一口に化学と言っても有機化学分野の中でさえ細かい区分があったり、生化学や物理化学など生物や物理と絡めた化学もある。化学以外にも生物や物理そのものを学ぶ必要もある。つまり薬学を学ぶことは理科を学ぶことと同義である。

⑦徳島大学に来て良かったと思うことは?

 徳島大学薬学部志望の人は恐らくコアDDS講義について面接で述べる事が多いと思うので存じている人もいるだろうが、徳島大学ではDDS技術の研究が盛んである。しかしそれ以外にも有機合成薬学研究室の難波教授のトリアザペンタレンによる蛍光試料の開発や創薬理論化学研究室の立川教授の血液脳関門の解析や脳への投薬など様々な研究が行われている。この様なことを深く学ぶのは徳島大学薬学部特有のことであり、徳島大学の魅力であると考える。

⑧受験前日・当日に気をつけた方がいいこと

 どの受験形態でも夜に寝られずに遅刻しかけたので、出来るだけ早く床に就いておくべきである。自分の場合は吐き気が止まらずに何も食べられなかったので、人によっては何も食べ物は持っていかない方が良いかもしれない。そして時計を持って行くことは忘れてはいけない。  スーツを着る場合は慣れていないと時間がかかるので早めに準備する必要がある。ネクタイに関しても自分で手早く結べるようにしておくと面接前にトイレで綺麗に結び直せるため、練習しておくと良い。  面接は大抵受験番号の若い順に呼ばれるため最後の方の番号の人は待ち時間が4時間近くなる。そのためそのあとの受験の勉強をするなり、本を読むなり時間を潰せるものを持っていくとよい。

⑨合格した皆さんへ

 合格おめでとうございます。その合格が望んだものなのかそうではないのかは分からないが、合格したことに対しては素直に喜んでもらいたい。第一志望で合格したならば、そのまま理想に向かって突っ走ってもらいたい。もしそうでなくても人生が大学で決まる訳ではないのでそこからどう動けるかどうかを考えてほしい。全てに妥協せず生きることは難しいが少しでも理想に近づくように動く努力を続けてほしいと思う。  合格を祝って早々に少し厳しい話をしてしまったが、大学生活を楽しんでほしい気持ちは十分にある。大学生活は今までの生活とは大きく変わり期待や不安があると思うが、やってみれば案外どうにかなることも多い。また自発的に動くことである程度のことは何でも自由に出来る。大学生は自主性が大切だと考えるため、失敗を恐れずにやりたい事をやりたいようにやってもらいたい。そして将来の役に立ててもらいたいと思う。

この先輩が利用した入学準備